[第3回]IoEとは何?IoTとの違いやその概要を詳しく解説

IoEとはどういうものなのでしょうか。最近、IoTという言葉を聞く機会が多くなりました。IoTとIoEは何が違うのでしょうか。この記事ではIoEについて詳しく解説します。また、IoEの周辺概念であるIoTなどとの違いも解説。

さらに外国でのIoEの導入事例を紹介します。最後に製造業におけるIoEの導入について紹介します。ぜひ、最後までご覧ください。


IoEとは

IoEとは「Internet of Everything」の略称です。日本語では「あらゆる物事のインターネット」「すべてのインターネット」と訳されます。言葉通り、あらゆる物事がインターネットに接続されるという意味です。これにはサービスや人も含まれています。 IoEには、さまざまなものがインターネットに情報として「伝達」「共有」「蓄積」「分析」されるまでを含んでいます。このIoEの登場により、インターネットはさらに使いやすく便利なものになり、我々の暮らしやビジネスを大きく変化させると期待されているのです。

IoEとその周辺概念

IoEと似た用語にIoTがあります。その他にもIoC・IoA・IoD・IoHという用語もあります。実はこれらの用語は似ているだけではなく、関連性もあるのです。IoEはあらゆる物事をインターネットにつなぐ大きな概念。IoTはIoEに含まれ、モノをインターネットに接続するテクノロジーとしての概念です。

これとは別に、IoC・IoA・IoD・IoHもIoEに含まれます。ここからはそれぞれの周辺概念について詳しくみていきましょう。

IoTとは

IoTとは「Internet of Things」の略称で、「モノのインターネット」のことを指します。現在でもさまざまなデバイスがインターネットに接続されています。家電製品の中にもインターネット接続機能をもったものが多く販売。また家電だけでなく、製造業・物流業などさまざまな業界で活用され、IoTは我々の生活に溶け込んでいます。

IoCとは

IoCとは「Internet of Customers」の略称で、「顧客のインターネット」のことです。IoCは、IoTの向こう側に顧客がいることを意識した言葉です。企業がIoTを介して顧客に、よりよいサービスを提供すること。企業も顧客データを活用して、よりよい製品開発や品質向上を図ろうという概念です。

IoAとは

IoAは「Internet of Ability」の略で、「能力のインターネット」のことをいいます。ネットワークを介して人の意識とテクノロジーを拡張する概念です。人の知覚能力・認知能力・学習能力・身体能力などを強化すると期待されています。さらにAIとの組み合わせで、思考能力の強化も可能になるといわれています。

IoDとは

IoDは「Internet of Digital」の略で、「デジタルのインターネット」という意味です。デジタルデバイスがインターネットに接続されることを意味します。デジタルデバイスには、スマートフォン・タブレットパソコンなど端末の他にも、サーバーなどの基幹システムもあります。

IoHとは

IoHとは「Internet of Human」の略で、「人のインターネット」のことです。スマートウォッチのようなウェアラブルデバイスを身につけたり、身体にICチップを埋め込んだりして、インターネットに接続します。インターネットに送られた生体データを分析し、医療に役立てることが期待されています。

IoEの導入事例

諸外国でIoEの導入事例があるので紹介します。

IoEを導入したことで、あらゆるサービスやインフラの状況が、リアルタイムに利用者へ届けられるようになっています。製品やサービスの品質が向上することはもちろん、データ分析やデータの可視化も可能です。

これらの事例ではIoEをIoT(モノ)だけでなく、IoC(顧客)・IoH(人)、そしてIoA(人の能力)に活用していることがよくわかります。

それでは諸外国の導入事例をみていきましょう。

スペイン

スペイン・バルセロナでは市街地にIoEを導入しました。市街地にゴミの量を自動で計測するゴミ箱を設置。ゴミ箱にゴミがたまっていないときは、回収しないなど清掃業務を効率化しました。また、駐車場にはセンサーを設置し、リアルタイムで空き状況を把握。ドライバーがアプリを利用すれば、空いている駐車スペースをすぐに見つけられます。

ドイツ

ドイツ・ハンブルクでは複数のセンサーを組み合わせて、交通管制に役立てています。港周辺の道路には複数のセンサーを設置。同時に船舶の運航状況も監視しています。そのため、船の運航状況に合わせて、瞬時に交通量をオペレーションできます。

また、街中の駐車場にもセンサーを設置。住民はスマートフォンから駐車場の空き状況を確認できます。これにより駐車場を探す時間が短縮できました。

オーストラリア

オーストラリアの高速道路では、センサー7万台以上・カメラ6万5千台以上を高速道路に設置し、交通事故や渋滞の防止に役立てています。また、この道路情報は高速道路を管理する会社のオペレーターだけでなく、ドライバーにもネットワークを経由して提供。

ドライバーへ提供される情報は「交通事故」「渋滞予測」「天気による交通への影響」など多岐にわたっています。

製造業におけるIoEの導入

工場においてもIoT化が進められています。工場のIoT化の妨げになっていることが「モノをつなぐ」こと。工場の生産機器は、そもそも「つなげる」ことを前提にして作られていません。そのため、古い生産機器には後付けでつながる仕組みを組み込む必要があります。これですべての生産機器がネットワークに接続されれば、工場のIoT化ができるでしょう。

しかし、生産機器がネットワークに接続されただけでは、まだ生産性も向上していませんし、品質も安定しません。IoTでつながるのはセンサーなどからデータを収集し、蓄積する手段で、工場のIoE化、スマート工場化のファーストステップです。

IoT機器の導入でデータを収集したり、可視化することで、より付加価値の高い情報が得られます。

しかし「データを集めただけ」、「可視化するだけ」では生産性の改善や品質不良の削減には直接つながりません。

収集したデータから、ネック工程を見つけ生産ラインの改善を行うことでサイクルタイムが向上します。また、生産機器の故障の予兆を検出することができれば、異常の早期検出し未然防止につなげられます。このように製造業においては、IoT化するだけでは不十分です。IoTで得た情報をどのように生かすかということが重要なのです

最後までお読みくださり、ありがとうございました。