[第2回] メッシュネットワークの仕組みを解説|工場内無線LAN

工場内にIoT機器が増え、無線LANのニーズがますます高まっています。とくに広い工場の必要なエリアをカバーできることが工場内無線LANには求められるのです。また、工場内無線LANの特徴として、生産ラインの組み替えによるエリア変化やさまざまな機器からの高周波ノイズなどの影響もあり、強い電界も求められます。

この記事では、工場内無線LANのニーズを満たすメッシュネットワークについて紹介します。次にメッシュネットワークの仕組みを紹介。その後、新たに無線LANエリアを増設する必要が生じた場合、従来のツリー型ネットワーク・中継器・メッシュネットワークの違いを説明します。

最後にメッシュネットワークのメリット・デメリットを紹介します。ぜひ、最後までご覧ください。


メッシュネットワークとは

メッシュネットワークとはその名前の通り、網の目のような構成をした無線LANネットワークのことです。無線LANのアクセスポイントに相当するものはサテライトと呼ばれます。親機であるメインルーターと連携しながら、網の目のようなネットワークを構築します。

メインルーターとサテライトは、網の目のように通信経路を構成し、無線LANのアクセスポイントと同様に無線LANエリアをカバー。これによりメッシュネットワーク全体で広いエリアを無線LANとしてカバーします。

メッシュネットワークの仕組み

メッシュネットワークは、メインルーターとサブの役割を持つサテライトから構成されます。メインルーター・サテライトともに、無線LANのアクセスポイントの機能があります。そして、メインルーターとサテライトが連携して、最適な無線LANネットワークを構成するのです。

サテライトは一つのネットワークとして動作します。デバイス側ではメインルーター・サテライトの違いを意識する必要はありません。実際にデバイスはメインルーターやサテライトに接続されていますが、デバイスからは一つのネットワークに接続されているようにみえます。

また、サテライトの増設は容易です。サテライトを増設すると、メインルーター・各サテライトと連携し、サテライトのネットワーク設定を自動で行います。

無線LANエリア増設方法の違い

新たにIoT機器を導入し、無線LANエリアを増設しなければならなくなった場合「ツリー型ネットワーク」「中継器」「メッシュネットワーク」でエリア増設の方法が異なります。ここでは各方式でのエリア増設方法を説明します。

ツリー型ネットワーク

アクセスポイントを増設してエリアを増設する場合、LANスイッチからアクセスポイントまで新たにLANケーブルを敷設する必要があります。LANケーブル敷設に工事費用がかかります。また、すぐに無線LANエリアを増設できません。

中継器

既存の無線LANエリア内に中継器を設置して、無線LANエリアを増設する方法があります。ツリー型ネットワークでアクセスポイントを設置するように、LANケーブルの工事は不要です。

しかし、中継器によるエリア増設は、既存のアクセスポイントを経由してルーターから通信制御をします。そのため、IoTデバイスが増えるとルーターに負荷がかかり、通信速度が低下しやすくなります。

メッシュネットワーク

メッシュネットワークでは、サテライトを設置することで無線LANエリアを増設することが可能です。サテライトはメインルーターと連携し、自動的にネットワーク設定がされます。また、メインルーター・サテライト間の通信経路も自動的に構成。通信の負荷分散ができ、安定的な通信ができます。

メッシュネットワークのメリット・デメリット

メッシュネットワークにもメリット・デメリットがあります。ここではメリット・デメリットをそれぞれみていきましょう。

メリット

  • メッシュネットワークはツリー型ネットワークと比較すると、アクセスポイント増設のコストが安く、機動的にエリア拡張などの対応ができる
  • 中継器に比べると、通信速度の低下が少なく、通信の安定性を確保できる
  • メッシュネットワークは、メインルーターとサテライトが独自のルーターとして機能する。そのため、ルーターの負荷が分散され、速度低下が起きにくく、通信の安定性も高い
  • メッシュネットワークではサテライトを設置するだけで、自動的にネットワークの接続設定がされ、運用が容易
  • サテライトが故障するなど障害時でも、動的にメインルーター・サテライト間の通信経路を再構築するので信頼度が高い
  • 中継器のようにデバイス側で、接続先の切り替えの必要がない

デメリット

  • 価格が普通のルーターより高価
  • メッシュネットワークは自動的にネットワーク設定ができる。しかし、細かい設定はできない
  • メッシュネットワークの標準規格化は進んでいるが、今のところメーカー独自規格が多く、相互接続性がない

まとめ

オフィスなどLANスイッチと無線LANアクセスポイントが近いネットワークでは、ツリー型ネットワークで十分かも知れません。

一方、工場など敷地が広いエリアでは無線LANが向いているといえるでしょう。しかし、LANスイッチからアクセスポイントまではLANケーブルを敷設する必要があり、コストを必要とします。また、機動的にエリアを増設することは困難です。

メッシュネットワークであれば、サテライトを増設するだけで、自動的にネットワーク設定がされます。さらに、メインルーターとサテライトが独自のルーターとして動作するため、通信の負荷分散ができ通信速度の低下も少なく、安定した通信ができます。

メッシュネットワークには「自動でネットワークを構築」「最適な負荷分散・高パフォーマンス発揮」「サテライト障害時も自動的に通信経路を再構築」などの特徴があり、近年多く採用されるようになりました。とくに自動的にネットワークを構築する点は、専任の情シスを持たない企業様に好評です。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。